2018年8月11日土曜日

シネマ・メモ②



『タクシー運転手〜約束は海を越えて』

1980年5月に起きた光州事件(韓国・光州市)で実在した
人物をモチーフにしている。韓国映画はほとんど観たことが無かった
ので主演のソン・ガンホはもちろん誰一人知らない俳優ばかりだった
けれど皆、個性的で存在感があった。

主人公のタクシー運転手(ソン・ガンホ)は迷いながらも、最後は
職業倫理よりも人としての道理を優先し行動した。
モデルとなったタクシー運転手「金砂福」については様々な説があり
韓国国内では、この映画がきっかけで歴史論争が浮上したようだ。



『ゲッペルスと私』

ヒットラーの政権下で、宣伝大臣だったゲッペルスの秘書をつとめた
ブルンヒルデ・ポムゼル。ゲッペルスには6人の秘書がいた。速記秘書だった
ポムゼルは、ゲッペルスと時間を共有した最後の生き証人。
インタビューを映すドキュメンタリーになっている。
撮ったのはポムゼル103歳のとき。
(2017年1月24日 106歳で永眠)

「上司に言われたことをタイプしていただけ」というポムゼルの言葉は
ハンナ・アーレントのいう「悪の凡庸さ」を思い起こす。

ハンナ・アーレントは「人間は上司や組織の命令で、本人の人格に関係なく
思いがけない残虐な行為をしてしまうものだ」とし、それを「悪の凡庸さ」と
定義した。「どんな状況下でも “思考を失うこと” が人類を破滅に追いやる」
という感動的なスピーチが映画「ハンナ・アーレント」の中にある。